I swam in the ocean

自分の中の何かしらのアンソロジーみたいなものです

美味しいせんべいと猿、鹿、猪

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小学生の時は、ばあちゃん家に帰る生活だった。両親が共働きで、晩御飯はばあちゃんが作ってくれていた。

 

いつも帰ったらお菓子の棚を覗いて好きなものを食べていたのだけど、時々お菓子棚にある「朝日あげ」という揚げせんべいは特別美味しかった。

小さい頃は「時々ばあちゃんちにある美味しいせんべい」くらいにしか認識していなかったのだけど、

このおせんべいは兵庫県産のもので、兵庫に住んでいるじいちゃんの妹さんが送ってきてくれていたのだ、と最近分かるようになった。

 

じいちゃんの妹さんは兵庫のど田舎に住んでいて、もう90歳をとうに過ぎているのだけど、

一人で田舎から出てきて新幹線に乗って旅行をしたり、今でも畑を耕したりして、一人暮らしをしている。

 

「もう足があかんなってね」とは言うものの、

山に囲まれていて、畑が広がっている田舎で、

お家は昔ながらの、土間が広々と薄暗く、家にあがるのにも段差が急な中でも、しっかり一人暮らしをしているので本当に凄いことだなと思う。

 

山がすぐ近くにあるところで畑をしているもんだから、野生動物がすぐに野菜を狙いにくるから困るもんだわ、電気柵をしても意味ないんよ、と話していた。

「鹿は飛び越え、猪はくぐり抜け、猿は両手にかぼちゃを抱えて走り去る」と話していて、まるで日本昔ばなしの一説のようであった。

 

もし小学生のときに、この話を知っていたら、そしてこの大叔母さんが送ってきてくれていたと知っていたら、

食べるたびに猿や鹿や猪を追い回す大叔母さんを思い出していたんだろうなと思う。

 

久しぶりに食べたくなってきたな、今はインターネット販売があるからいいね、買っちゃお

 

⬛︎

播磨屋本店 朝日あげ 小缶 (1枚×24袋入)

これが私が一番好きなおせんべいです

私の中でのお煎餅部門第一位

わたしの食べ方としては周りの縁をかじかじ食べてから真ん中に進んでいきます

甘い砂糖醤油味の揚げ煎餅です

 

和菓子のアン (光文社文庫)

これで思い出されるのはなかなかぽっと思い付かないけど、お菓子一つ一つに思い出があるのは良いことだなと思う

 

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