I swam in the ocean

自分の中の何かしらのアンソロジーみたいなものです

この世にエンタメを作り出してくれる人ありがとう

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最近色々見ていて面白いものがあったからメモをしていく。人の感想を読み漁ってしまうと「そうそう!これが言いたかったんだ!」みたいにはなるけど、我慢して自分の荒削りの感想を載せてみます

 

◼️青野くんに触りたいから死にたい

 漫画。ラブもコメディも謎解きもホラーも泣ける要素もある、てんこもりの漫画。

 私は本当はハッピーエンドが好きで、できればみんな幸せになってほしい派である。ほんでみんな幸せになった上で、後ろから「けっ幸せ者め爆発しろ」とか思いたい。性格悪いけど。

 ただこの漫画はもう一話目でどうあがいてもハッピーエンドにならないスタートを切る。途中、もしかしたらあったかもしれない幸せな未来の描写があるんだけどまぁそこがラブシーンなのに2人につられてベロベロに泣いてしまった。相手に触れる、一緒にご飯を食べられる、生活ができる。こんな普通みたいな幸せなシーンが一生訪れないのをこんなにも美しく描くなんてなんと残酷な。

 連載中なので謎解きは今も続いているんだけど、謎が解けようと最高のハッピーエンドには、おそらくならない。知らんけど。

 ただ主人公の2人がお互いの過去や傷や呪いを知りながら、かなりの傷を付け合いながら関係性を深めていく様子が応援したくなる。

 読むのには色々な意味で少し注意が必要な場面が多いので、心が安定してる時にぜひ読んでほしい。心をぶん回される。

(他人の感想読んでて「意図的な父親の不在」というワードが出てきてて、頭のいい人の感想ってすげぇ〜!と思いました)

 

◼️スキップとローファー

 田舎から東京の新学校に入学したミツミちゃんの「不協和音スレスレのスクールライフコメディ」の漫画。

 作者の人、今ももしや高校生になって高校に潜入しながら漫画描いてるのか?ってくらい学校の忘れていたあるあるみたいなのとか、それぞれの人物のキャラの生い立ちや思考や表現とか、人と関係を作り上げていく様子とかの描写力がもう圧倒される。人物の書き分け(顔、制服の着こなし、性格、思考等)もすごいし、「あ、今夕方だ」とすぐ分かるような夕陽の差し込む廊下とか絵からの情報量もすごい。

 雰囲気としては、おそらくトップの進学校だから自律を信じた上でけっこう自由にのびのびしているし、それに加え勉強も文化祭もクラスマッチも全力!みたいなキラキラが強いので、見る人によっては胸を焼かれて灰になると思う。私は焼かれた。私はこんな高校生活戻りたい!と一瞬思ったのち、こんなに血の滴る感受性をもって感情揺さぶられながら全力で生きる高校生には戻りたくないとも思わされるアンビバランスな感情を持った。

 主人公のみつみちゃんは本当に誰とでもじわーっと仲良くなれる子。容量の良い人、不器用な人、自己嫌悪から抜け出そうとする人、生真面目で損しそうな人、自信がなくて責められてる気持ちになりやすい人、猪突猛進に好きなことをする人、疑心暗鬼になり鎧を着ている人、過去に傷を抱えて自分なんかと投げやりになってる人に対して、気負わず素のままをさらけ出しながら関わるから、相手も自然と表に出てしまわせる能力がある主人公。これはー名作ですね、何度も読み返したいですわ

 配偶者はのぞいて、たぶん友達となんで喧嘩したかよーわからんことで喧嘩してその後仲直りして、っていうようなエピソードはおそらく大学2年生くらいの時が最後だった気がする。仲直りできる土台と時間と背景があるから喧嘩ってできることなんだろうなぁ、と思い出しました。大人になったらそんなふうな人との関わり方できないのかもしれないね。良いことか悪いことかわかんないけど。

 

◼️エゴイスト

 映画。興味があったので見に行ったけどR15で結構濃厚でしっかりしたラブシーンが多く、私は人の性行為はちょっと恥ずかしくて見れないので目を瞑ってましたが目を瞑っている間に心身傷つかなければ性行為というのは本来生活の一部なのだから忌避するものではないと思い直したりしました。

 映画の根底には、おそらく始まりはどうだったとしても”愛”が流れているとは思って見ていたのだけど、なんでタイトルが「エゴイスト」なんだろう?と考えがなかなかまとまりませんでした。人がとある人と関係ができた時に、相手を慮っているようで自分が助かりたいというか自分が満足したい、という思いがそれぞれ表に出たシーンのことを「エゴイスト」と呼んでいたのでしょうか?そこに無償の愛があったとしても??助けたいからとお金を渡すこと、他人を介して人を助けること、自分がダメなやつだから別れを切り出すこととか。

 まだ帰らないで、という言葉も、温かいエゴイズムが出たところであり、変化した場所だったのでしょうか。

 感想をうまく言葉にできませんが、なんといっても演技が出てくる全員がすごかった…

 鈴木亮平さん、あの人はシャーマンか何かかと思う、そのままその人だった。宮沢氷魚さん、ピュアさと妖艶さの入り混じる雰囲気の醸し出し方すげぇな。阿川佐和子さん、そのままお母さんだった、母が亡くなったことを聞いた後の反応も、悪気なく彼女がいるか聞くのも、お惣菜持って帰ってもらうのも、お風呂を沸かすのも、本当にそのままのお母さんだった。柄本明さん、妻を早くに亡くし息子も家を出た後の田舎で一人暮らししているお父さんそのままだった。全員シャーマンなの…?そのままその人じゃん…と思った すごかった

(他人の感想で、人に言うことを聞いてもらう時に別の人の名前を出していてコントロールがうまい、モラハラの気質がある、とかいてる人がいて頭いいなと思いました)