I swam in the ocean

自分の中の何かしらのアンソロジーみたいなものです

芸術のもつ力

中学の時の音楽の先生はいつも、しっかりと目の周りを囲んだメイクで、派手なスカーフのようなスカートを履いて、ピアノにもたれかかって授業をしていた。

 

「バレエでも、演劇でも良いから、たくさん観にいきなさい。それはいつかあなたの肥やしになるから」とその先生が言っていた言葉が妙に残っている。

 

言葉の上ではなんとなく芸術が心の栄養になるんだろうなとは思うのだけど、実感したことはまだ無いような気がして、

いつかはちゃんとこの言葉が胃に落ちて消化できていくのだろうか、と焦燥感がある。

 

私には心に残っている絵が3枚あって、それらがなんで残っているのかもよく分からない。これらがじわじわと栄養になっているのだろうか。

 

1枚目はカナダの美術館で見た、作者名とタイトルをメモし忘れた絵なのだけど、

 

地平線まで続く、作物を植える前のよく耕された茶色い畑と、

その地平線からこちらに広がる雲の沸き立つ青空と、

畑の手前の鮮やかな緑の芝生があり、

そこに赤い車が止まっていて、その中で絵を描いている人、

という絵だ。

なんで好きなのか分からないけど、一瞬で好きになってしまった。

 

メモしたつもりが肝心なところを全然メモできてなくて、あとで検索できなかった。

 

2枚目は熊本の現代美術館で見た奈良美智さんの大きな女の子の絵だ。

素直そうな、目の綺麗な女の子の絵で、背景は白なのか薄い黄色なのかピンクなのか、それらがとろりと溶けたようなとっても綺麗な色でかなり魅入ってしまった。写真などでは分かりにくい、絵をそのまま見たからわかる繊細な色の移り変わりがあまりにも綺麗であった。

 

3枚目は、また作者はよく分からないけど、浮世絵展で見た絵だ。

絵自体は忘れたのだけど、雲母摺という技が使われており、雲母の粉を塗って絵がちらちらと光るものであった。浮世絵にラメの世界があったとは、と面白い体験であった。

 

ほかにも、モネやピカソの絵を見たり、アンリルソーの絵を見たり、ずっと本物を見てみたいと思ってたゲルニカを見たりしたのだけど、意外と心に残ることはなかった(知識や楽しむ心が貧相なせいかと思う)

ゲルニカに関しては、ずっと見てみたいと思ってた絵だったので、長い時間眺めていたのだけどあまりにも人が多く、「人が多くて近づけないな〜」という感想しか残っていない。悔しい。

 

たくさんの美術館に行ったけど、心に残るこの3枚と、時々思い出すようなその他の絵は、最近電車の広告で出会った以下の言葉を見ると安心する。

「たった三秒で終わった出来事でも、それがもし永遠に記憶に残るほどのものなら、それは永遠より長い。」

 

いろんな芸術を取り込んで、それらが私に馴染まなくとも、一枚でもそういう永遠の力を持つ絵があれば、それが栄養になるのかもしれないなと思った。

 

最近東山魁夷という人を知り、画集を買ったのだけど、今月末神戸で東山魁夷展があると知り運命と思った。また何か心に残る作品に出会えるかもしれない。

 

最後に、

母といった、スペインの美術館で、3枚の大きなキャンバスにシンプルな黒い線が描かれていた絵があった。

何に見えるか、と話したところ、私は髪の毛と思ったし、母は波打ち際だと思ったそうだ。

やはり芸術はその人の感受性によるところが大きい気がした。

 

みんなは何に見えますか

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⬛︎最近好きな芸術家

東山魁夷さん この静かな森と湖のそばを歩く白馬の絵… 私はこの湖でカヌーを漕いで、この馬とすれ違いたいよ…

もっと知りたい 東山魁夷の世界 (TJMOOK)

 

奈良美智さん

奈良美智 YOSHITOMO NARA SELF-SELECTED WORKS PAINTINGS

この絵のぽわっとミルキーに光る色の美しさや…

奈良美智 YOSHITOMO NARA SELF-SELECTED WORKS WORKS ON PAPER

線画だとやさしくぱちぱち弾ける線香花火のような光になると思ったよ

 

「たった三秒で終わった出来事でも、それがもし永遠に記憶に残るほどのものなら、それは永遠より長い。」の広告は下記の本の内容らしい。気になる。

20代で得た知見


今気になってるのはこれ

ベルサイユ宮殿の豪華絢爛な過去のものの中に

現代のアートのメタリックなバルーンアートドッグがどーんと置いてある写真集。

十何年前なのか知らないけど、見てみたかったなぁー!

Jeff Koons: Versailles